イエスもモーセも「ムスリム」だった?イスラムが明かす世界最古の教え

イエスもモーセも「ムスリム」だった? アイキャッチ

こんにちは、日本人ムスリマのAyaです。

これまで、イスラムが信じる唯一の神である「アッラー」や、1400年間変わらない奇跡の書とされる「クルアーン」についてお話ししてきました。

では、その「神の言葉」は、どのようにして私たち人類に届けられてきたのでしょうか?

その大切な役割を担ってきたのが、今回ご紹介する「預言者」たち(彼らに平安あれ)1です。

そして、ここがイスラムの教えの興味深いところなのですが、モーセやイエスといった、私たちがお馴染みの聖書に出てくる人物たちも、イスラムでは神の言葉を伝えた偉大な預言者であり、敬愛すべき「ムスリム」だと考えられているんですよ。

Aya

この記事を読み終える頃には、バラバラだと思っていた物語が一つに繋がるような、そんなイスラムの教えの普遍性を感じていただけたら嬉しいです!

目次

イスラムは「一番新しい」けど「一番古い」宗教ってどういうこと?

一般的には「イスラム教は7世紀にムハンマド(彼に平安と祝福あれ)によって始まった」と習います。

たしかに宗教としての「イスラム教」という名称はその頃に広まりました。

でも、イスラムの教えでは

  1. 最初の人間・預言者であるアダム(彼に平安あれ)から、すでに「唯一神アッラーを信じる信仰」があった
  2. 歴史を通じて、神は多くの預言者たち(ノア、アブラハム、モーセ、イエスなど)を通じて、同じ神のメッセージを伝えてきた
  3. ムハンマドはその最後の預言者として、神の教えを「完成」し、広く人類に伝えた

このように信じられています。

その意味で、預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)は「イスラム教の創始者」というより、「最初から続いてきた神の導きの、最後の預言者」といえます

そして、彼を通して神のメッセージは「完成」し、すべての人類へと明確に示されたということです。

だからイスラムは「人類の歴史のはじめから続いてきた最も古い宗教」でありながら、「神の導きの最終形として現れた最新の宗教」でもあるって言えるんだね

そもそも「預言者」とは?神様からのメッセージを届けた人々

イスラム教では、預言者(アラビア語で「ナビー」)とは、神からの啓示(メッセージ)を受け取り、人々に伝える特別な人物のことを指します

クルアーンにはこう記されています。

本当にわれは,各々の民に一人の使徒を遣わして、『アッラーに仕え、邪神を避けなさい』と命じた。
クルアーン 16章 蜂蜜 (An-Nahl) 36節抜粋

ここで「民」はあらゆる民族や共同体を意味し、つまりアッラー(至高にして崇高な御方)は全ての国や民族にメッセンジャーを送ってきたことがわかります。

預言者の数は数万、数十万とも言われていますが、明確にはされていません。

Aya

人間の長い歴史の中で、すべての民族や民に神の使徒が遣わされたとすれば、その数が多かったんだろうと想像がつくね

その中でクルアーンに具体的な名前が挙げられている預言者は25人です。

イスラムでは、彼ら全員が共通して「唯一神アッラーへの服従」を説き、そのため皆「ムスリム」(神に服従する者)と見なされています。

ムスリムとイスラムの意味についてはこちらの記事へ

イスラム教における偉大な預言者たち

アダムとイブ:最初の人間であり預言者

イスラム教では、アダム(彼に平安あれ)が最初の人間であり、また最初の預言者とされています。

アダムは神アッラーによって創造され、その妻イブ(イスラム教ではアラビア語の名前ハワー)とともにこの世に送り出されました。

イスラムでは、二人とも悪魔にそそのかされて禁じられた果実を食べたとされており、女性だけが責められることはありません。

むしろ男女は互いに平等であり、尊重されるべき存在と教えられているよ

ノア、アブラハム、モーセ、イエス…聖書にも登場する預言者たち

クルアーンで名前が挙げられている預言者の中でも、特に私たちムスリムが敬愛し、その物語から多くのことを学んでいる方々がいます。

聖書にも登場するので、イスラムに馴染みのない方でも、きっとご存知の名前があるはずですよ。

ここで、その何人かをご紹介しますね。

ノア(ヌーフ)は、悪に染まった人々が洪水で罰せられる中、信仰を守った家族とともに救われたとされています。

アブラハム(イブラヒム)は、信仰の父として知られ、神に全幅の信頼を寄せる象徴的な存在です。

モーセ(ムーサー)はトーラー(律法)を神から授かり、イスラエルの民を導いた預言者です。

イエス(イーサー)は奇跡を行い神の教えを伝えましたが、イスラムでは神の子ではなく、預言者の一人として敬われています。

(↑カッコ書きの部分は、アラビア語名です。クルアーンではこのアラビア語読みの名前で記載されています。)

彼らが伝えた「たった一つの共通のメッセージ」とは

すべての預言者が伝えたメッセージは「唯一神アッラーへの信仰と服従」でした。

イスラムはこの普遍的な教えのもとにあり、預言者たちの教えは時代や文化を超えて一貫しています。

イエスもモーセも「ムスリム」だった?イスラムが明かす世界最古の教え

「イスラム Islam」という名前に込められた意味

ここでもう一つ注目したいのが、宗教の名前の由来です。

たとえば、

  • ユダヤ教(Judaism)は、「ユダヤ人」という民族名に由来。神と契約を結んだ「選ばれた民」のための宗教として発展してきました。
  • キリスト教(Christianity)は、「イエス・キリスト」の名から来ており、新約聖書にも「私はイスラエルの失われた羊のために遣わされた」とあるように、もともとはイスラエル民族への呼びかけが中心でした。
  • 仏教は「ブッダ(悟りを開いた人)」という称号に由来し、特にゴータマ・シッダールタ(釈迦)の教えから始まったとされています。

その反面、「イスラム(Islam)」という名称には、人名や民族名が含まれていません

アラビア語で「イスラム」は、「神への服従」や「平和」「安らぎ」を意味し、同じ語源を持つ「サラーム(سلام)」は「平和」を表します。

Aya

イスラムという名前そのものが、「誰のものでもない」「誰にでも開かれている」宗教であることを示しているんだね

クルアーン(コーラン)にもこの普遍性は明確に書かれています。

われはあなた(ムハンマド)を、全人類への慈悲として遣わした。
クルアーン 21章 預言者たち(Al-Anbya) 107節

このように、イスラムの教えは、特定の民族や文化に限定されたものではなく、すべての人間に向けられた神からの共通のメッセージであることがわかります。

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ムハンマドはなぜ「最後の預言者」なの?その2つの大切な意味

イスラムにおいて、預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)は、神様が人類に送った「最後の預言者」とされています。

これには、大きく分けて二つの重要な意味があります。

1.神の啓示の「完成者」であること

一つは、アダムの時代から続いてきた神のメッセージを、すべての人類のための「最終版」として完成させた、という役割です。

時代と共に忘れられたり、解釈が変わったり(人間が意図的に変えたり)してしまった部分をもう一度純粋な形に戻し、これ以上ない完璧な形で教えを届けたとされています。

クルアーンは、ムハンマドを「預言者の封印」と表現しています。

ムハンマドは、あなたがたの誰の父でもない。ただ、アッラーの使徒であり、預言者たちの封印(最後の預言者)である。アッラーはすべてのことを完全にご存じである。

クルアーン 33章 部族連合 (Al-Ahzab) 40節

2.すべての預言者の教えを受け継いでいること

そして、もう一つは「最後」だからといって、それ以前を否定するのではないということです。

むしろ、アダムから始まり、モーセやイエス(彼らに平安あれ)に至るまで、すべての預言者が伝えてきた「唯一の神への信仰」という同じメッセージの集大成がイスラムだと強調しています。

そのため、ムスリムは過去のすべての預言者を信じ、敬うことがクルアーン(コーラン)にも書かれています。

(ムハンマドよ、)言ってやるがいい。「私たちはアッラー、私たちに下されたもの(クルアーン)、イブラーヒーム、イスマーイール、イスハーク、ヤコーブ、諸支族に下されたものを信じる。またムーサーとイーサーと、(その他の)預言者たちが彼らの主から授けられたものを信じる。私たちは、彼らの内の誰も分け隔てはしない。そして私たちは、かれ(アッラー)のみに従う者(ムスリム)なのである

クルアーン 3章 イムラーン(Ali-Imran) 84節

この2つの側面を合わせ持つからこそ、ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)は「創始者」ではなく、「太古から続く神の教えを、全人類のために完成させた、最後にして最大の預言者」として深く敬われているのです

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まとめ:すべての預言者を敬い、つながりを感じるイスラムの教え

今回は、イスラムの視点から見た預言者たちの物語をお届けしました。

Aya

今日のポイントを振り返ってみましょう

  • イスラムの教えは最初からそして預言者ムハンマドによって完成:アダムの時代から続く「唯一神への信仰」という普遍的な教えが、最後の預言者ムハンマドによって完成された形です
  • イエスもモーセもムスリム:イスラムでは、過去の預言者たちは皆、同じ唯一神に服従した「ムスリム」であり、深く敬われています
  • 「イスラム」という名前に込められた意味:特定の人名や民族名に由来しない「イスラム(神への服従)」という名前そのものが、この教えが全人類に開かれていることを示しています

イスラムは過去の預言者たちの教えを否定するのではなく、そのすべてを受け入れ、一つにつなぐ教えであることが、少しでも伝わっていたら嬉しいです。

そして、多くの預言者の中でも、最初の人間であり預言者であったアダム(彼に平安あれ)の物語は、私たち人類の始まりを教えてくれます。

特にイスラムでは、妻であるイブ(ハワー)がどのように描かれているのかを知ることで、誤解されがちな「イスラムにおける女性の尊厳」についても深く理解することができます。

女性をテーマに、この物語をさらに掘り下げているのでぜひ下記もお読みください。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

この記事でお伝えした良いことは、すべてアッラー(至高にして崇高な御方)からのもの。
至らない点や間違いがあったとしたら、それは私の未熟さによるものです。

ここまで読んでくださったあなたにとって、何か一つでもプラスになることを祈っています。

Aya

アッサラーム アライクム
(あなたの上に、平安がありますように)

当ウェブサイトで扱う内容は非常に奥深く、専門家の方々が長年研究を重ねている分野です。共有している情報は、あくまでその広大な知識への入り口として、私自身の学びを元にまとめたものです。
もし内容に間違いなどお気づきの点がありましたら、コメント欄などで参考文献を添えて、優しくご指摘いただけますと幸いです。

なお、ブログ内で使用している敬称については、こちらのページで詳しく解説しています。

  1. ブログ内ではイスラム教における敬称を日本語で記載しています。詳しくはこちらをご確認ください ↩︎
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Aya
シドニー在住 日本人ムスリマ
学生時代の留学がきっかけで改宗。
ブログ「イスラムのとびら」では、イスラムの奥深さやムスリムのリアルな暮らしを発信しています。
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