アッサラーム アライクム(あなたに平安あれ)
こんにちは、日本人ムスリマのAyaです。
「イスラム・女性」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「抑圧されてる」「自由がない」という印象を持つ人が多いですよね。
Aya私も恥ずかしながら以前はそう思っていました
でも、それってメディアが恣意的に作り上げているイメージだってご存知でしたか?
考えてみれば、髪を隠しているからってそれだけで女性の知性や強さが失われるわけがありません
今回はそんなムスリム女性のイメージを根底から覆すような女性活躍の歴史を見ていきましょう。
世界最古の大学は、一人のムスリムの女性が創設した
大学とは、かつて男性のものでした。
日本で女性が好きな大学を選べるようになったのはなんと戦後の1948年。
西欧諸国でも日本よりは多少早いものの、19世紀〜20世紀にかけて女性も高等教育を受けられるようになった歴史があります。
その大学の名はカラウィーン大学(the University of Al-Qarawiyyin)。
モロッコのフェズにある大学で、ヨーロッパ最古と言われるイタリアのボローニャ大学よりも200年以上も前に設立されています。
中東やアフリカは「遅れている国」というイメージがまだ強いかと思いますが、それって実は後から「そのようにされてきた」だけなのでは。
過去の素晴らしい功績を振り返ると、そう思えざるを得ません。

創設者ファーティマ・アル=フィフリーとは、どんな女性だったのか?
800年ごろ、ファーティマ・ビント・ムハンマド・アル=フィフリーは、現在のチュニジアで生まれました。
家族は敬虔なイスラム教徒で、学問を重んじる裕福な家庭だったといいます。
一家はイスラム世界の学問の中心地だったモロッコのフェズへ移住します。
ファーティマは、当時としては珍しく、女性でありながら高度な教育を受け、宗教、法学、語学、詩学などを学び、知識への情熱を持っていました。
父親は裕福な商人で、父と兄が亡くなった後にファーティマは大きな遺産を相続することになります。
彼女はこの遺産を、社会と信仰のために使うことを決意し、モスクと教育の場を作ることを決意。
(イスラム教ではこのような信仰による善行・寄付をサダカといい、とても重要な行いとして位置付けています。)
地元の建築家と協力しながら、859年にカラウィーン大学を設立します。
当時はモスクとマドラサ(イスラム学校)としてオープンし、その後世界初の大学へと発展したというわけです。
法学、文法、哲学、数学、医学などが学べる学問の中心地となっていきました。
- カラウィーイン大学は、現在も運営が続いており、「世界最古の学位授与制度を導入した大学」としてユネスコにも登録があります。
- ギネス世界記録にも「世界で最も古くから継続して運営されている大学」として認定されているんです。
また、2017年には、世界最古の図書館(大学併設)が女性建築家アジザ・チャウニ氏によって修復・再オープンしました。
ここでも女性の活躍があり、創設者の意志が受け継がれていますね。
ファーティマ・アル=フィフリーの年表
| 年代 | 出来事 |
| 800年頃 | 現在のチュニジアで生まれる |
| (日付不明) | 学問の中心地だったモロッコのフェズへ一家で移住 |
| (日付不明) | 父親の死後、大きな遺産を相続する |
| 859年 | 私財を投じ、カラウィーン大学を設立 |
| 現在 | ユネスコ・ギネスに最古の大学として登録・運営継続中 |
海外の卒業式で着るローブと角帽・・・実はイスラム発?

実は、大学の卒業式でおなじみのあのアカデミックガウン(ローブ)と角帽にも、この大学の学問文化が影響を与えたという説があります。
卒業式の黒いローブは、当時カラウィーン大学の卒業生たちがまとっていたアラビアの伝統衣装「Thowb(ソウブ)」が起源の一つになったそう。
これがヨーロッパの大学に伝わり、現在の形になったのです。
また、みんなが投げて写真を撮っているあの特徴的な四角い帽子についても興味深い一説があります。
それは、聖典であるクルアーン(コーラン)を敬意を込めて頭の上に置いて運んだイスラム学者の習慣を象徴している、というもの。聖なる書物を、自分の頭よりも高い、最も尊い場所に置く、というわけです。
これらの説がどこまで歴史的な事実かは、専門家の間でも議論が分かれるようなのですが、私たちが「西洋の伝統」だと当たり前に思っていた文化のルーツに、イスラム世界からの影響が強く示唆されているという事実自体が驚きだと思います。
Aya私もこの説を知った時は、本当に驚きました

確かにロングローブは現在もムスリムがきている服に似ていますよね!
なぜ、この事実は「隠されて」きたのか?

フェミニズムや男女平等などが叫ばれる中、なんで私たちはこのような女性、しかもムスリムの女性の功績を知らないのでしょうか?

ユネスコにも、ギネスにも登録されているのに!
それは、おそらく歴史、また私たちが目にするメディアは大抵が勝者(西欧諸国・資本主義国)からみて都合の良い事実だからです。
イスラム教について言えば、メディアに取り上げられる実に84%がネガティブな情報だと研究結果が出ています。
Bleich et al.(2022)による25万件以上のメディア分析より
なお、他の宗教については40〜50%前後なので、イスラム教のみを明らかに偏った報道がされていることがわかります。
これって単なる偶然だと思いますか?
ハリウッド映画などでもムスリムは男性であれば、暴力的・テロリスト、女性であれば抑圧されている可哀想な子、という表現が圧倒的に多いですよね。
メディアがイスラムについてネガティブな情報を流し続けるのはこういった経済的背景も大いに影響しているのではないでしょうか。
Aya私たちが普段目にする情報は「誰が語っているのか」を意識すること、そして受け身で情報を待つのではなく、自分の目で事実を調べることの大切さがわかりますね
イスラムが教える「知」と「女性」の本当の姿

ファーティマの偉業は、彼女一人が特別だったから成し遂げられたわけではありません。
その行動の根底には、イスラムが教える「学びの」と「社会貢献」の大切さがあります。
預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)は、こう残しています。
「知識の探究はすべてのムスリムの義務である」
この教えは、男性だけに向けられたものではありません。
イスラムにおいて、知識の探求は性別を問わず、すべての信者に課せられた神聖な義務であり、権利です。
詳しくはこちら
また、西洋社会がようやく女性に基本的権利を認めはじめるよりも遥か昔、およそ1400年前から、イスラムは女性に財産の所有権、相続権、そして教育を受ける権利を認めてきました。
さらに、イスラムでは自分の死後も人々のためになり続ける善行や寄付を「サダカ・ジャーリヤ(継続する施し)」と呼び、とても価値ある行為とされています。
ファーティマはまさに、イスラムが女性に認めた知への義務と社会への責任を体現し、自らの財産と知性を活かして“学びの場”を提供するという形で、永続的な社会貢献を実現しました。
おわりに:歴史から学び、私たちが未来へ繋ぐべきこと
ファーティマ・アル=フィフリーの物語から私が学んだのは大きく2つ。
- メディアや誰かが作った「常識」を鵜呑みにせず、自らの意志で真実を探求することの大切さ。
- 勝者の歴史の中では埋もれてしまった、光り輝く功績をきちんと知ることで、ステレオタイプや偏見から自由になれる。
モロッコで大学を作った女性、ファーティマの功績は今後も多くの生徒たちに影響を与え続いていくことでしょう。
この記事を読んで、あなたの心に少しでも新しい学びがあれば、ぜひこの物語を、あなたの友人や家族にも伝えてみてください。
一つの物語を共有することが、世界から少しずつ、偏見をなくしていく大きな一歩になると思います。


最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
この記事でお伝えした良いことは、すべてアッラー(至高にして崇高な御方)からのもの。
至らない点や間違いがあったとしたら、それは私の未熟さによるものです。
ここまで読んでくださったあなたにとって、何か一つでもプラスになることを祈っています。
Ayaアッサラーム アライクム
(あなたの上に、平安がありますように)
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なお、ブログ内で使用している敬称については、こちらのページで詳しく解説しています。


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