「イスラム教と女性」と聞くと、
ヒジャブ、一夫多妻、相続問題…。
メディアを通じて、どこか抑圧されているような、ネガティブな情報を目にすることが多いです。
(こうしたイスラムへの誤解については、こちらの記事でも詳しく解説しています。)
でも「アメリカやイギリスでは、イスラム教に改宗する人の75%以上が女性である」という事実が。
Aya欧米でイスラムを選ぶ女性が急増している理由について。
歴史的事実と教えから解き明かす海外の優れたYouTube動画を、日本語で分かりやすく要約・解説します。
※この記事は、海外の優れたYouTube動画『Does Islam Really Value Women? Hijab, Polygamy & Beyond』の内容を、著作権法で認められた『引用』の範囲で紹介し、私自身の解説と考察を加えるものです。制作者様への敬意を払い、動画の全編を視聴することを推奨します。
ご紹介する動画:Towards Eternity
なお、今回ご紹介するチャンネル『Towards Eternity』は、下記でも詳しく紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
18世紀の英国貴婦人が目撃した「世界で最も幸せな女性たち」
動画ではまず、18世紀にオスマン帝国(現在のトルコ)を旅した英国の貴族、エリザベス・クレイヴン夫人の驚きの言葉が紹介されます。
彼女は、イスラム社会に生きる女性たちを「生きている中で最も幸せな生き物」と表現し、こう記録しました。
「トルコほど女性が自由を享受し、あらゆる非難や批判から解放されている国は見たことがありません。」

なぜ彼女はこれほどまでに驚愕したのか。
それは、彼女が故郷イギリスで見てきた女性の地位が、あまりにも悲惨なものだったからです。
動画では、当時のヨーロッパがいかに女性にとって過酷な社会であったかが、衝撃的な事実と共に解説されています。
当時のヨーロッパ(特にイギリス)の女性の状況
- 財産権の不在: 結婚すると、女性が持っていた財産や、働いて得た収入さえも、すべて法的に夫のものとなる。
- 相続権の不在: 父親が亡くなっても、その遺産は直接夫のものとなり、女性には何の権利もない。
- 親権の不在: 離婚した場合、どんなに愛情を注いで育てた子どもでも、すべて父親に引き渡される。
- 妻の売買: 信じがたいことに、1913年のイギリスでさえ、夫が妻に飽きたら市場で家畜のように売ることができた、という記録が残っています。
- 魔女狩り: 15〜17世紀のヨーロッパでは理不尽な理由で、4万人から10万人もの無実の女性が「魔女」として告発され、生きたまま火あぶりに。
- 「女性は人間か?」という議論: 当時の社会では「女性に魂はあるのか?」といった問いが、知識人によって真剣に議論されていた。
※そもそもイスラムには、女性を罪の源と見なす「原罪」という概念自体が存在しません。その根本的な世界観の違いが、こうした女性観の差に繋がっているのかもしれません。詳しくはこちらの記事へ。
クレイヴン夫人がオスマン帝国で見たのは、これらとは全く逆の光景でした。
イスラム社会の女性たちは、何世紀も前から財産権、相続権、訴訟を起こす権利、そして教育を受ける機会をイスラム法的に保障されていたのです。
(その法的根拠となっていたのが、1400年以上も変わらない聖典クルアーンでした。詳しくはこちらの記事へ。)

確かにこんなにも違うと衝撃を受けるのも納得
Aya西欧諸国は、1913年になってもまだイギリスで夫が市場で嫁を家畜のように売っていたという、都合が悪い事実は隠蔽してイスラムが女性を抑圧しているというプロパガンダを流し続けているんですね…
イスラムがもたらした「女性の権利革命」

では、なぜイスラム社会では、これほど早くから女性の権利が確立されていたのでしょうか。
動画では預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)がもたらした「革命」が答えだとしています。
彼は、その生涯の最後に行った有名な「別れの説教」の中で、10万人以上の聴衆を前に、未来永劫に残る言葉を語りました。
人々よ、確かにあなた方は女性に対して一定の権利を持っている。しかし、女性もまたあなた方に対して権利を持っている。あなた方が女性を妻としたのは、アッラーの信頼と許しのもとに過ぎないことを忘れてはならない。(中略) 女性を丁重に扱い、親切にしなさい。
また、動画では、イスラム以前の無知(ジャーヒリーヤ)の時代と、イスラム以後で、女性の人生がどのように劇的に変わったかが、ライフサイクルに沿って具体的に示されています。
| ライフステージ | イスラム以前の状況 | イスラムがもたらした変革 |
| 誕生 | 女の子は「恥」とされ、生き埋めにされることも多かった | 女児殺しを完全に禁止。「娘を正しく育てる者は天国に行ける」と教え、娘の存在を祝福とした。 |
| 結婚 | 本人の意思を無視した強制結婚が横行。 | 本人の同意なしの結婚を禁止。結婚時には、夫から妻へ「マハル(婚資)」と呼ばれる経済的保障を贈ることを義務化。これは妻の固有財産となる。 |
| 母親として | 社会的な尊敬や価値は低かった。 | 「楽園(天国)はあなたの母の足元にある」と述べ、母親への尊敬と孝行を信仰における最高レベルの善行とした。 |
| 相続 | 夫が死ぬと、妻自身が「財産の一部」として他の男性に相続された。 | 相続される存在から、明確な相続権を持つ存在へと地位を転換させた。 |
本動画でも、私が以前取り上げた、世界最古の大学の創始者がムスリム女性だったことについて触れられています。
詳しくはこちらの記事もご覧ください
世界最強の指導者を論破した一人の女性 ― カリフ・ウマルの話
イスラムが女性に与えた自信と価値は、預言者(彼に平安と祝福あれ)の死後も社会に根付きました。
動画では、その象徴として、第二代カリフ(指導者)ウマル・イブン・ハッターブの驚くべきエピソードが紹介されます。(彼は正義の人として有名です)

ウマルは、ペルシャ帝国を征服し、ローマ帝国を打ち破った、当時の世界で最も権力のある指導者の一人でした。
ある日、彼は人々から要望され「結婚の際のマハル(婚資)が高騰しているので、上限を設けよう」と民衆に提案します。
今の世の中でも、例えば大統領に苦言を言うなど難しいですが…
なんと、一人のごく普通の女性が立ち上がり、こう言って彼に異議を唱えました。
「アッラーはクルアーンの中で『たとえ多額の金を与えたとしても、花嫁の贈り物を一切取り返してはならない』と仰せになっています。神が許された権利を、なぜあなたが制限するのですか?」
聴衆の前で公然と反論されたウマルは、どうしたか。
彼は怒るどころか、謙虚にこう宣言しました。
「あの女性が正しく、自分が間違っていた。」
そして、自らの提案を即座に民衆の前で撤回したのです。

また、イスラムでは、知識を学ぶことが非常に重視されており、性別に関係なく、誰もが聖典を学び、発言することが奨励されていました。
その重要性についてはこちらの記事で解説しています。
ヒジャブは抑圧か、尊厳か?― 現代社会へのアンチテーゼ
多くの人が「抑圧の象徴」と見なす「ヒジャブ」についても、動画は新しい視点を提示します。
ムスリム以外にはあまり知られていませんが、クルアーンがヒジャブについて語る時、その戒律はまず男性に対して与えられます。
「信仰する男たちよ、視線を下げなさい」と。
これが「男性のヒジャブ」であり、まず男性が女性に対する敬意を払う責任を負うのです。
その上で、女性が身を覆うことは、以下の目的を持つ「保護システム」であると動画は解説します。
- 家庭の平和を守る: 夫婦間の信頼関係を、嫉妬や不貞といった外部の誘惑から守る。
- 女性の尊厳を守る: 動画では、ニューヨークで行われた社会実験の例が紹介されます。
露出の多い服で街を歩いた女性は、5時間で108回もの言葉によるハラスメントを受けたのに対し、ヒジャブを着用した同じ女性は、誰からも不快な視線や言葉を向けられませんでした。

「イスラムの問題」ではなく「報道の問題」である

この記事の目的は、その歪められたイメージを正し、「本来の教え」と「一部の人々の行動」とを明確に切り離すこと。
(この「教えとムスリムの行動のギャップ」については、以前こちらの記事でも詳しく考察しました。)
そして、イスラムという教えそのものが、いかに女性の尊厳を重んじているかという事実をお伝えすることにありました。
少しでも、その誤解を解く一助となれば幸いです。
【続編はこちら】残された3大タブーの真実
ここまで見てきたように、イスラムが歴史的に女性の権利をいかに引き上げ、その尊厳を守ってきたかが分かります。
しかし、それでもなお、現代の私たちが抱く大きな疑問が残っています。
- なぜ、イスラムでは男性は4人の妻を持つことが許されているのか?
- なぜ、相続において女性の取り分は男性の半分なのか?
- クルアーンにある「女性を打て」と解釈される一節の、本当の意味とは?
これらの非常に重要で、物議を醸すテーマについて、続編となるパート2の解説記事で、その驚くべき答えを紐解いています。
Ayaパート2でました!
解説記事を書を書いたので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。

今回ご紹介した内容は動画の要点をまとめたものですが、全編をご覧になるとナレーターの力強い語り口や映像の説得力から、さらに多くの発見があるはずです。
この素晴らしい動画を制作してくださった『Towards Eternity』チームに、心から敬意を表します。
▼ぜひ、元の動画もチェックして、チャンネル登録で応援しましょう!
自動生成の日本語字幕で見ることができますよ。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
この記事でお伝えした良いことは、すべてアッラー(至高にして崇高な御方)からのもの。
至らない点や間違いがあったとしたら、それは私の未熟さによるものです。
ここまで読んでくださったあなたにとって、何か一つでもプラスになることを祈っています。
Ayaアッサラーム アライクム
(あなたの上に、平安がありますように)
当ウェブサイトで扱う内容は非常に奥深く、専門家の方々が長年研究を重ねている分野です。共有している情報は、あくまでその広大な知識への入り口として、私自身の学びを元にまとめたものです。
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なお、ブログ内で使用している敬称については、こちらのページで詳しく解説しています。


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