将来の不安や人生の決断に迷う時。イスラムの教え「タワックル」で心を軽くする方法

将来の不安や人生の決断に迷う時。イスラムの教え「タワックル」で心を軽くする方法

アッサラーム アライクム(あなたに平安あれ)
こんにちは、日本人ムスリマのAyaです。

  • 漠然とした将来への不安がある時。
  • 大きい選択をしなきゃいけなくて「どちらを選んでも、後悔しそうで怖い」と立ち止まってしまう時。

私たちはみんな、生きていたら不安や迷いを感じる瞬間があると思います。

でも、その苦しさだったり迷いの正体は、もしかしたら「自分の手ではコントロールできない結果(運命・定命)まで、すべて自分で背負うもの」と思っているからかも?

もし、その重荷を信頼できる誰かに預けることができたら…?
私たちの心は、きっと、ふっと軽くなるはず。

今回は、イスラムの重要な教え「タワックル」について、クルアーン(コーラン)とハディース(預言者の言行録)を元に深掘りしていきたいと思います。

目次

タワックル Tawakkul とは何か?

イスラムには、迷ったり不安に押しつぶされそうになったりする私たちを不安から解き放ってくれる『タワックル (Tawakkul)』という、とても温かい教えがあります。

タワックルの意味(神に委ねること)

これはアラビア語で「神様を信頼し、全てを委(ゆだ)ねること」を意味する、イスラムの信仰における心の柱の一つです。

Aya

神様を100%信頼すること、と言ったら分かりやすいかも

「…え、それって、何もしないで『神頼み』?」

と思われるかもしれません。

でも、実はその逆で、『タワックル』人間の努力を重要視したした、とても現実的な心のあり方なんです。

神頼みではなく「努力+信頼」である理由

そのことを示す、預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)の有名なハディース(言行録)があります。

ある男が預言者(彼に平安と祝福あれ)に尋ねます。
「アッラーの使徒よ、私はラクダを繋いでアッラーを信頼(タワックル)すべきでしょうか、それとも繋がずにアッラーを信頼(タワックル)すべきでしょうか?」
預言者(彼に平安と祝福あれ)は言いました。
「ラクダを繋いでアッラーを信頼しなさい。」

Sunan al-Tirmidhī 2517

この「自らの行動が先、信頼が後」というバランスは、クルアーン(コーラン)の中でも明確に示されています。

(前略)いったん決意したならば,アッラーを信頼(タワックル)しなさい。本当にアッラーは信頼する者を愛でられる。
クルアーン 3章 Al Imran159節 抜粋

この一節からも、まずは決断し、行動を起こすこと。

それが、神様に全てを委ねる、信頼(タワックル)の前提条件であることが分かりますね!

>> アッラーとは、一体どんな御方なのか、詳しくはこちらの記事へ

心が軽くなる仕組み:「自分の領域」と「神様の領域」を知る

先ほどのラクダの話に戻りますが、この預言者の言葉は「タワックル」が単なる精神論ではないことを、はっきりと教えてくれます。

それは、私たちがやるべきことと、手放していいことの「境界線」を引く知恵だとも言えます。

前半:『ラクダを繋ぐ』フェーズ(私たちの責任領域)

これが「人事を尽くす」部分。
自分でコントロールできることについて、まずは全力を注ぐ。

後半:『アッラー(至高にして崇高な御方)に委ねる』フェーズ(神様の領域)

人事を尽くした後の「結果」がどうなるか。
それが、神様の領域です。
ここは私たちはコントロールできません。

神様(アッラー)を信頼するってどういうこと?

では、神様を信頼するとは、具体的にどのような心持ちなのでしょうか。

預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)は、別のハディース(言行録)でこう語っています。

「もしあなたがたが、真にアッラーに信頼するならば、かれは鳥を養うように、あなたがたを養われるであろう。鳥は朝、空腹で(巣を)発って、夕べに満腹して帰ってくる。」
Sunan al-Tirmidhī 2344

注目すべきは、鳥もただ巣の中で待っているわけではない、ということです。

朝、自ら飛び立っていくという「人事を尽くす」行動を、鳥たちもしています。

でも、彼らは具体的にどこに餌があるかを知っているわけではありません。

ただ、「神様が必ず備えてくださる」と信頼しているからこそ、迷いなく飛び立つことができるということなんです。

これが、「タワックル」の心の状態です。

結果がどうなるか分からなくても、自分のできることをした上で、「必ず最善へと導いてくださる」と神様を信頼し、一歩を踏み出す勇気ですね。

では、なぜ私たちはそこまで絶対的な信頼を置くことができるのか。

その理由を、クルアーンは力強い約束の言葉で示してくれています。

誰であろうとアッラーを畏れる者に、かれは(あらゆる困難からの)出口をお授けになる。
また、かれ(アッラー)は、彼が思いもよらない所から、糧をお授けになる。

アッラーに全てを委ねる(タワックル)者にとっては、かれ(アッラー)だけで十分である。
クルアーン 65章 At Talaq 2-3節より抜粋

  • 「あらゆる困難からの出口をくださる」
  • 「思いもよらない所からの恵み」
  • 「かれだけで十分である」
Aya

この神様からの約束を心から信じられたら、私たちはきっとどんな未来に対しても、もっと勇敢になれるはず!

>> イスラムが教える「許しの力」については、こちらの記事もおすすめです。

今日からできる「タワックル」を実践する2つのステッ

理屈は分かったけれど、具体的にどうすればいいの?と感じるかもしれませんね。

大丈夫です。「タワックル」は日常の小さな心配事から実践できる、とてもシンプルで、でも驚くほど強力な心の習慣なんです。

さっそく、その方法を見ていきましょう。

STEP
「やることリスト」で自分の範囲を明確に

抱えている不安や迷いについて「今の自分にコントロールできること」だけを紙に書き出してみましょう。

「〇〇さんに相談する」「〇〇について調べる」といった具体的な行動です。

そして、一つずつ行動に移していきましょう!

STEP
「宣言」で神様に委ねる

リストのやるべきことを全て終えたら下記のようなことを唱えてみましょう。

「できることはやってみました、ここから先は、最善をご存知のあなたに信頼してお任せします」

この宣言が、心の重荷を神様の手に預ける合図。

そして、どんな結果になっても、それを受け入れると決めることも重要です。
もし望んだ結果でなくても、それは「神様が、もっと良い道を備えてくださっている」というサインかもしれません。


Aya

結果に一喜一憂するのではなく「全ての出来事には意味がある」と信頼することで、私たちの心は驚くほど穏やかになります

イスラム 優しさ

【まとめ】あなたの心を、もっと自由に

「タワックル」は、不安をゼロにする魔法ではありません。
でも、一人で抱えていた重荷を、絶対的な信頼を唯一置くことのできる存在、つまり神様に託すことで、深い安心感を与えてくれます。

この教えが素晴らしいのは、それが単なる心の技術に留まらないからです。

私たちが人事を尽くし、神様に信頼を寄せること。

その行いに対して、神様は最高の報奨を約束してくださっています。
それは、心の平穏だけではありません。

(前略)本当にアッラーは信頼する者を愛でられる。
クルアーン 3章 Al Imran159節 抜粋

神様からの「愛」です。
これ以上に、私たちの心を根底から支えてくれるものはありませんよね。

もし今、あなたが将来への不安や、人生の選択に迷って心が重ければ、まずは目の前の「自分のラクダ」を繋ぐことから始めてみませんか?

Aya

私たちの小さな努力は、必ず神様の愛へと繋がっているはず。

この記事を読んだあなたの心が、少しでも軽くなることを願っています。

>> イスラムの教えが、私たちの心にどう作用するのか。こちらの記事でも詳しくお話ししています。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

この記事でお伝えした良いことは、すべてアッラー(至高にして崇高な御方)からのもの。
至らない点や間違いがあったとしたら、それは私の未熟さによるものです。

ここまで読んでくださったあなたにとって、何か一つでもプラスになることを祈っています。

Aya

アッサラーム アライクム
(あなたの上に、平安がありますように)

当ウェブサイトで扱う内容は非常に奥深く、専門家の方々が長年研究を重ねている分野です。共有している情報は、あくまでその広大な知識への入り口として、私自身の学びを元にまとめたものです。
もし内容に間違いなどお気づきの点がありましたら、コメント欄などで参考文献を添えて、優しくご指摘いただけますと幸いです。

なお、ブログ内で使用している敬称については、こちらのページで詳しく解説しています。

将来の不安や人生の決断に迷う時。イスラムの教え「タワックル」で心を軽くする方法

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Aya
シドニー在住 日本人ムスリマ
学生時代の留学がきっかけで改宗。
ブログ「イスラムのとびら」では、イスラムの奥深さやムスリムのリアルな暮らしを発信しています。
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