アッサラーム アライクム(あなたに平安あれ)
こんにちは、日本人ムスリマのAyaです。
前回の記事では、食に関するハラーム(禁止)が、私たちの心と身体を守るための、神様の温かい「セーフティーネット」であることをお話ししました。
>>【第1弾】お酒と豚はなぜ禁止?イスラムの食に関するハラーム解説
この神様のセーフティーネットは、私たちの食事だけに限りません。
実は、私たちのお金との付き合い方の中にも、知らず知らずのうちに社会を蝕んでしまう、大きな落とし穴が存在します。
Aya今回は、その「富と取引」におけるハラームについて、クルアーンの教えと現代社会の現実を比較しながから、一緒に見ていきましょう。
はじめに:「ハラーム」シリーズの全体像
この「ハラーム」シリーズでは、神様の教えが私たちの人生をどのように守ってくれているのかを、4つの大きなカテゴリーに分けて探求しています。
- 食べ物: 心身の清浄さを保つ
- 富と取引: 公正で搾取のない社会を築く <今回の記事>
- 社会倫理: 人間の尊厳と調和を守る
- 信仰の根幹: 人生最大の目的を見失わない
この記事は、シリーズ第2弾として、リストの2番目、「富と取引」に焦点を当てて解説します。
ハラームとハラールの言葉の意味はこちらの記事をご確認ください。
利子(リバー – Riba)

具体例: お金の貸し借りにおいて、元本に上乗せして要求される利息全般。
銀行の利子、高利貸しなどが含まれます。
クルアーン(コーラン)に明確に利子が神様(アッラー)から禁止されていることが書かれています。
利息を貪る者は,悪魔にとりつかれて倒れたものがするような起き方しか出来ないであろう 。それはかれらが「商売は利息をとるようなものだ。」と言うからである。しかしアッラーは, 商売を許し,利息(高利)を禁じておられる。
銀行にお金を預ければ「利息」がつき、ローンを組めば「利子」を払う。

現代社会では当たり前のこの仕組みを、イスラムはなぜ厳しく禁じるのでしょう?
それは、利子が「お金がお金を生む」という、不労所得の仕組みだからです。
本来、富は、人が働き、知恵を出し、リスクを取ることで生まれるべきものです。
イスラムは、このような不公平な富の収奪をハラームとします。
正当な労働や商売によってこそ、公正で健全な社会が築かれると教えるのです。
Ayaイスラム教がテロリストだなどというプロパガンダを流しているのは、利子によって一部の大金持ちによって運営されているこの世界の仕組みに大きなNoを突きつけているから、かもしれませんね
欺瞞的・不確定要素の大きい取引(ガラール – Gharar)
具体例: まだ捕獲していない海の中の魚を売買するなど、契約内容に過度な不確実性や曖昧さが含まれる取引。
これは、預言者ムハンマド(彼に平安と祝福あれ)が、不確実性が大きい取引を禁じたという趣旨の多くのハディース(言行録)に基づきます。
>>クルアーンとハディース(言行録)について詳しくはこちら
アッラーの使徒は、ガラル(不確実性を含む)取引と、ハサ(石を投げて決めるような不確定な)取引を禁じられた。
※「Gharar(ガラル)」はイスラーム法学で「不確実性・曖昧さ・過度なリスク」を意味します。
※「Hasah(ハサ)」取引とは、石を投げて落ちた場所などで売買条件を決めるような、偶然や曖昧さに依存する取引のことです。

これは、現代で言えば、中身が完全には分からない商品を売買したり、重要な情報が隠された契約を結んだりすることを禁じているのと同じです。
例えば、日本でも特定商取引法(クーリングオフ制度)や景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)、消費生活センターなど、弱い立場に置かれがちな消費者を守る法律・制度があります。

これもまた、公正で安心な社会を築くための、神様からの大切なセーフティーネットの一つといえますね!
賭博・ギャンブル(マイシル – Maysir)

具体例: 宝くじ、カジノ、ギャンブルなどの賭け事全般。
努力によらず、他者の富を奪い合う行為。
ギャンブルについては、クルアーンに明確に記載があります。
信仰する者たちよ、酒、賭け事、偶像、賭矢を引くことは、悪魔の行いであり、穢れに外ならない。ゆえにあなた方が成功するように、それ(ら)を避けるのだ。
>>お酒についてはこちらの記事にて詳しく記載しています。
ギャンブルについては、禁止されている理由を詳しく説明するまでもないと思いますが、宝くじ、カジノ、そして日本では特にパチンコなど、とても気軽に始められますよね。
イスラムがこれを厳しく禁じるのは、それが「参加者を破滅させるように、数学的に設計されたゲーム」だからというのも1つの理由でしょう。(本当の理由は神のみが知っておられますが。)
その破壊的な影響は、現代日本のデータにも、はっきりと表れています。
厚生労働省推計によれば、生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になった日本人は、成人の3.6%(約320万人)に上り、これは他の先進国と比べて3倍以上で異常に高い数値です。
もはや個人の問題ではなく、社会的な病と言えます。
また、自己破産する人の6人に1人は、ギャンブルが原因であり(日弁連調査)、多額の借金は自殺の引き金となることも少なくありません。
Aya努力によらず他者の富を奪い合う不公正な行為であると同時に、私たちの心と人生を守るための、極めて重要で慈悲深いルールですね
不正な手段で富を得ること

具体例: 窃盗、詐欺、横領、賄賂など。
クルアーンには不当であると知っていながら富を使ってはいけないと明確に記載されています。
あなたがたの間で,不法にあなたがたの財産を貪ってはならない。またそれを贈って裁判官に近付き,他人の財産の一部を,不当であると知りながら貪ってはならない。
クルアーン2章 al Baqarah 188節
当たり前のことですよね。
でも、今の社会でこれがどれくらい実践されているでしょうか?
この教えは、ニュースで見るような金銭関連の悲惨な事件だけに当てはまる話ではありません。
私たち自身の、日々の小さな選択にも関わってきます。
例えば、
- お店のお釣りが多かったことに気づきながら、黙って受け取ってしまうこと。
- 他人のアイデアや文章を、まるで自分のもののように発表してしまうこと。
- 本来支払うべき対価を、値切り交渉などで不当に安く買い叩こうとすること。
これらもまた、「不当であると知りながら、他人の財産(や権利)を貪る」という行為の入り口になり得ます。
イスラムは、大きな不正だけでなく、こうした日々の小さな不誠実さからも、私たちの心を守ろうとします。
まとめ:公正な社会を作るためのハラーム
今回は、利子や賭博など、富と取引に関するハラームについて見てきました。
しかし、公正であるべきは、お金のやり取りだけではありません。
私たちの社会の最小単位である「家族」や、日々の「人間関係」の中にも、守るべき大切なルールが存在します。
次回の第3弾では、「社会倫理におけるハラーム」に焦点を当て、親孝行や男女関係といった、さらに私たちの身近なテーマを掘り下げていきます。
>>【第3弾】親不孝・婚前交渉・嘘はなぜ禁止?人間関係を守るイスラムの社会倫理

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
この記事でお伝えした良いことは、すべてアッラー(至高にして崇高な御方)からのもの。
至らない点や間違いがあったとしたら、それは私の未熟さによるものです。
ここまで読んでくださったあなたにとって、何か一つでもプラスになることを祈っています。
Ayaアッサラーム アライクム
(あなたの上に、平安がありますように)
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